リウマチ初期症状

リウマチの種類

ポイント

●リウマチは、関節や筋肉が痛む病気の総称

●関節リウマチは、リウマチの代表的疾患のひとつ

●リウマチに含まれる病気は、原因によって分けられる

共通点は「痛み」メカニズムは異なります

リウマチの主な病気
よく関節リウマチは、単に「リウマチ」と呼ばれます。しかしリウマチ(専門的にはリウマチ性疾患といいます)というのは、運動器(関節、筋肉、靭帯、腱など)が痛む病気の「総称」で、一方、関節リウマチは「病名」です。
関節リウマチとリウマチとは別個のものですので、使い分けたほうがよいでしょう。関節リウマチはリウマチのひとつで、リウマチに含まれる病気はほかにも200種類以上あります。このページではリウマチの主な病気を紹介します。同じ「痛みの病気」でも、それぞれに特徴があります。
※リウマチを、大きく膠原病のグループとそれ以外の病気に分けて紹介していきます。

膠原病のグループの病気

●関節リウマチ

膠原病グループの病気の中では飛びぬけて患者数が多く、日本には約70万~100万人の患者さんがいます。世界じゅう、どの民族にもある病気で、有病率は0.3~1.5%。米国とヨーロッパ諸国に多くみられる傾向があります。

●全身性エリテマトーデス

顔面蝶形紅斑写真
全身性エリテマトーデスは蝶が羽を広げたような赤い発疹(蝶形紅斑)が知られていますが、ほかにも熱が出る、疲れやすい、だるいといった全身症状をはじめ、内臓障害による症状など、多様です。
一人の患者さんにすべての症状が出るわけではなく、あらわれ方も人によってさまざまです。関節の痛みやはれも起こりやすく、関節リウマチとまちがえられることもあります。また、関節リウマチや強皮症、多発性筋炎など、ほかの膠原病との併発(オーバーラップ症候群)も多くみられます。
国の特定疾患(病因が不明で有効な治療法が確立されていない病気です。医療費が援助される)に認定されており、登録患者数は5万5000人余り(2008年度)。医療機関を受診していない人を含めると、この2倍になると推定されています。

●強皮症

強皮症写真
強皮症は皮膚がかたくなる病気ですが、強いという言葉からは遠く、病変が起こった部分は線維化してク傷つきやすくなります。手指に出るレイノー症状 (寒冷刺激や痛みの刺激で白から紫、赤へと変色する)は、発病の数年前から始まることもあり、病気に気づくきっかけになります。
関節にも痛みやこわばりがあらわれ、関節破壊がないまま、手指に高度の変形(屈曲拘縮、曲がったまま固まる)が起こることもあります。
内臓に病変がおよぶことがあり、特に肺腺維症は、発症してから4年以内に肺活量がいちじるしく低下し、ときには生命にかかわります。強皮症も国の特定疾患に認定されており、登録患者数は次に紹介する多発性筋炎/皮膚筋炎と合わせて約3万8000人(2008年度)です。

●多発性筋炎/皮膚筋炎

皮膚筋炎写真
体を動かす骨格筋(横紋筋)に炎症が起こり、筋力が低下するのが 多発性筋炎です。この症状に加えて、特有の皮膚症状が起こるのが皮膚筋炎です。
筋肉症状のほかに、関節痛や呼吸器症状(間質性肺炎)、心症状(不整脈、心不全など)が起こることもあります。
なお、皮膚筋炎では相前後してがんが合併することがあります。ほかの膠原病との併発が多いのも特徴です。この病気も日本の特定疾患で、有病率は全身性エリテマトーデスの半分ほどとされています。

それ以外の病気

●リウマチ熱

リウマチ熱・扁桃腺写真
のどに溶連菌(溶血性連鎖球菌)という細菌が感染し、扁桃腺炎などにかかったあと、高熱とともに関節炎や心炎など特徴的な症状があらわれます。ときには後遺症として、心臓弁膜症を起こすこともあります。
6~15才の子どもに多く、成人でもみられますが、4才以下の小児にはまれな病気です。早期発見、予防、抗生物質による治療が発達し、日本での発症例は激減しましたが、開発途上国ではいまだに猛威をふるっています。当初は膠原病のひとつと考えられましたが、感染に続発するものとわかり、現在は原因が明らかになりました。

●痛風

痛風・足写真
血液に含まれる尿酸は、腎臓から尿にとけ排泄されますが、排泄量が少なかったり、体の中でつくられすぎると、血液中の尿酸が増え高尿酸血症になります。高尿酸血症の状態が長期化すると、尿酸塩という結晶になり関節に沈着していきます。尿酸の結晶は針状で、痛覚神経を刺激し、激しい痛みを起こします。これが 痛風です。
日本では現在、約200万人の無症候性高尿酸血症の人がいると推測されていて、特に30代、40代の男性の発症がよくみられます。女性は痛風患者全体の1~2%で、圧倒的に男性に多い病気です。

●変形性関節症

変形性関節症
関節の軟骨がすり減ったり、関節の骨が変形し、しだいに痛みが出てくる病気です。症状が関節リウマチと似ているため混同されがちですが、まったく異なる病気で、膠原病でもありません。変形性関節症は、ひざ関節がもっとも多く、股関節、手指、脊椎にもよく起こります。
発病には加齢、過体重、運動による負荷などの因子がかかわりますが、股関節では(日本においては)、先天性脱臼や股関節の屋根の形成不全で起こる場合が多く、ひざ関節よりも若い年齢で発症します。
関節は年齢とともに変化し、60才以上になると80%以上の人になんらかの変形がみられるとされます。高齢社会の中、患者数は増えており、約700万人(総人口の約5.5%)にのぼると推計されています。