リウマチ初期症状

関節リウマチの治療(薬物療法)
ポイント

●進行期から早期へ、ポイントが変わった薬物療法
●抗リウマチ薬を使い、早期に病気の進行を止める
●生物学的製剤を組み合わせるこたで、修復も期待される

初期のうちに病気を抑え込むことが重要

変形してしまった後では、元には戻せない
関節リウマチの治療のポイントは、「痛みをやわらげる」「関節の変形や破壊を防ぐ」「関節の機能を保つ」の3点にありますが、その中心的な役割を担うのが薬物療法です。
薬は、非ステロイド性抗炎症薬、副腎皮質ステロイド薬(ステロイド薬)、抗リウマチ薬の3種類に大別されます。
関節リウマチの薬物療法は、以前は、非ステロイド性抗炎症薬による痛みのコントロールが中心で、効果が出ないときは段階的に別の薬を追加し、併用していく方法がとられていました。
これは、1972年に英国のスミス博士によって提案された「治療ピラミッド」プログラムによる方法です。治療ピラミッドの土台には、病気のことを理解し安静にして、リハビリを行う基礎療法を置きます。その上に、第1選択薬(非ステロイド性抗炎症薬)、第2選択薬(抗リウマチ薬)、第3選択薬 (ステロイド薬)と、副作用の少ない薬から強い薬へと、段階的に薬物療法を進めていくものです。
薬の順番が、このように位置づけられた背景には、抗リウマチ薬はすべての人に使うべきでない、という考えがあったようです。
しかし、1980年代後半から90年代にかけての研究で、関節リウマチは発症して2~3年で急速に関節の破壊が進むことが明らかになりました。関節破壊が進み変形してしまってからでは、どんな薬を使っても元には戻せません。初期のうちに病気を抑え込むことが重要になります。
そこで現在では、関節リウマチという診断が確定したら、(年齢的に使用がむずかしい、重い合併症がある、といった問題がある人を除き)なるべく早期から積極的に、関節破壊を抑える効果のある抗リウマチ薬を使うことが推奨されています。

抗リウマチ薬や新薬の開発で、使い方が変化

関節リウマチの薬の使い方が、この十数年で大きく変化した様子は、こんな数字にもあらわれています。関節リウマチの診断が確定してから、抗リウマチ薬を使い始めるまでの期間が、1985~89年の5年間では平均27カ月かかっていましたが、10年後の1995~99年では、平均2.7カ月にまで短縮されています。
メトトレキサートなどのすぐれた抗リウマチ薬が開発され、抗リウマチ薬を中心に置く治療が可能になったからです。さらに2003年から生物学的製剤の使用が可能になり、これとほかの抗リウマチ薬を組み合わせることで、病気の進行を止めるだけでなく、破壊された関節を修復する効果も期待できるようになっています。
関節リウマチの治療は、下の年譜にもあるように、劇的に変わりました。しかし、関節リウマチという病気の経過をみていると、患者さんひとりひとりが、すべて違う様子をみせるといっても過言ではないほど、さまざまな病態があらわれます。その人の状態に合わせ、生活面まで配慮しながら、もっともふさわしい治療法を選んでいかなければならないことはいうまでもありません。

変化する関節リウマチ治療

1950年

病院の待合室には、車イスの患者さんがあふれる

1980年

効果を上げる治療プログラム(治療ピラミッド)が普及する

1990年

治療のポイントが、進行期から早期へと移行する

1995年

早期診断のため、早期における専門医への紹介が進む

2000年

寛解が、現実的なゴールになる

2003年

生物学的製剤の登場で、関節破壊抑制から破壊修復への期待が高まる

※(2003年、欧州リウマチ学会議より)