リウマチ初期症状

薬物療法(外用薬)
ポイント

●皮膚から患部に浸透した薬がはれや痛みを抑える
●技術が進み、使いやすくなっている貼り薬や塗り薬
●外用薬では全身的な副作用は起こりにくい

「自分でできる」数少ない治療手段

リウマチの外用薬
意外に思われるかもしれませんが、日本では、飲み薬と同じくらいの量の外用薬が使われています。それだけ、患者さんにとっては有用な薬なのでしょう。
外用薬とは、痛い部分に貼ったり、塗ったりする薬のことで、使った場所だけに効果をあらわします。関節リウマチは痛みの病気で、その感覚は、医師でも想像するしかない、本人にしかわからないものです。医師にも家族にもうまく伝えられず、痛みで悩んでいるとき、外用薬が手元にあれば、痛みの程度に応じて患者さん自身で手当てできます。
外用薬は、患者さんが家庭にいて「自分でできる」、数少ない治療手段のひとつといえます。関節リウマチで使われるのは、主に非ステロイド性抗炎症薬の外用薬です。副作用はまったくゼロではありませんが、ほとんどは、あまり心配のないものです。

貼り薬

外用薬には、さまざまなタイプがあります。まず、貼り薬の特徴や使い方を紹介していきます。

●抗炎症作用の貼付薬

痛むところに貼って使う薬です。非ステロイド性抗炎症薬が主成分で、皮膚から患部に浸透し、はれや痛みを直接抑えます。製剤には、パップ剤とテープ剤があります。
パップ剤⇒貼りやすいですが、長時間貼りつづけるとかぶれが起きやすく、また、貼った薬がずれるのが気になって、動きにくい面があります。水分を含むので、シップ効果も期待できます。基本的に、12時間ごとに粘りかえます(ただしロキソニン-パップは24時間ごと)。
テープ剤⇒よく粘着しますので、はがれるのが心配な、動きの多い部分に貼るのに向いています。貼りかえの目安は、24時間ごとです。

●湿布薬

パップタイプの貼り薬で、基剤に水分を多く含み、それが患部を冷やします。薬効成分のサリチル酸メチルには、消炎・鎮痛作用があります。
湿布薬には冷湿布と温湿布があり、冷湿布には、冷刺激のあるメントールやハッカ油が含まれています。熱感の強い急性期のはれや痛みをやわらげるのに向きます。一方、温湿布には、血行をよくするトウガラシエキスやノニル酸ワニリルアミドなどが含まれます。慢性的な関節痛や、冷えて痛むときなどに向いています。入浴すると症状が改善するような時期は、温湿布が向いています。ただし、入浴前30分前後は貼らないようにします。

●貼り薬を使うときの注意ポイント

①貼り薬を使いつづけると、かぶれやすいため、貼る場所を少しずつずらす、ガーゼをあてた上から貼る、などの工夫をします。
②湿布薬は、はがしたあとの部位に光をあてると皮膚炎(光過敏症)が起こることがあります。逆に、光にあたらなければ、皮膚症状は起こりません。
紫外線にあたらない、衣服やサポーターなどで部位をカバーする、肌を露出しないようにする、といった工夫をすると防げます。

塗り薬

皮膚に塗って使うタイプの薬には、軟膏、クリーム、ローション、ゲル、スプレーなど、さまざまな製剤があります。関節リウマチの塗り薬の主な成分は、非ステロイド性抗炎症薬、あるいはステロイド薬で、抗炎症作用があります。

●各製剤の特徴

①液剤は、塗る範囲が広いと、手間がかかる、べたついて不快感がある、といった問題があります。これを改善したのが、ゲル・タイプの塗り薬です。基剤を工夫することで、塗ったあとの使用感がよくなっています。
②軟膏は、油の成分に富んでいて、皮膚の奥まで浸透していきます。そのため、体の深部の痛みへの効果が期待できます。
③水溶性の塗り薬は、浅い部分にとどまりますので、表面に近い部位の痛みをとるのに向いています。
④ステロイド薬を主成分とする塗り薬は、皮膚から吸収されたステロイドが関節に運ばれ、抗炎症作用を発揮して、はれや痛みをやわらげます。特に、指や手首などの小関節の炎症を抑えるのに有効です。ただし、あくまでも対症療法ですから、関節リウマチそのものを改善することはできません。

●副作用の注意ポイント

貼り薬、塗り薬の両方にいえることですが、外用薬は吸収されても塗布部分にとどまるため、全身的な副作用は起きにくいといえます。ただし、アレルギー反応による副作用は、使用量とは関係なく起こるので、注意が必要です。皮疹、かぶれ、かゆみなどがあらわれたら、医師に相談するようにしてください。