リウマチ初期症状

薬物療法(免疫抑制薬・メトトレキサート等)
ポイント

●免疫細胞の増殖や働きを抑える薬
●メトトレキサートは世界で最も使用されているリウマチ薬
●切れ味がよく有効率が高い

メトトレキサートは世界の標準薬

メトトレキサート
免疫抑制薬とは、その名のとおり、免疫を抑える薬です。それも正常、異常にかかわりなく、すべての免疫の働きを抑え、主に白血球やリンパ球が新しくつくられることを阻止するように働きます。
いくつかの種類がありますが、第一にあげられるのがメトトレキサート(MXT、商品名リウマトレックス)です。世界でもっともよく使われている関節リウマチ治療薬で、欧米ではリウマチ患者の70%以上が服用しているといわれます。
メトトレキサートは、米国では1988年に抗リウマチ薬として認可され、それから10年遅れの1999年に、日本でも関節リウマチ治療薬として保険適用が認められました。
効き目があらわれるのが遅い抗リウマチ薬の中にあって、服用開始後2~4週間と、比較的早くあらわれます。さらにエスケープ現象も少なく、3年以上経過しても50%以上の人が服用をつづけています。数ある抗リウマチ薬の中でもメトトレキサートの切れ味のよさ、有効率の高さは群を抜いています。

「代謝括抗薬」は免疫システムを調整する薬

メトトキレサートのすぐれた効果は、「代謝括抗」作用によるものです。この場合の代謝とは、免疫細胞の増殖にかかわる物質をつくり出すしくみのこと。免疫細胞を直接抑えるのではなく、細胞にかかわる物質の代謝(物質の産生)を抑えることで、免疫細胞がつくられないようにします。このような形で免疫システムを調整する薬を「代謝括抗薬」と呼び、メトトレキサートはその代表的な薬です。
メトトレキサートが抑えるのは、「葉酸」です。葉酸は、細胞が分裂・増殖するときに重要な物質で、これを抑えることによって、関節で活発になっているT細胞や滑膜細胞の増殖をコントロールできます。

メトトレキサートの服用について

メトトレキサートは毎日のむ薬ではなく、1週間のうち決められたある1日だけ、1~4カプセルを12時間おきに服用します。
日本で保険の適用が認められている量は週8mg(4カプセル)までですが、実際にはそれ以上を必要とする患者さんも多く、2010年中には上限が撤廃される予定です。量が増えるほど効果も高くなりますが、副作用も起こりやすくなるので、リスクと効果を考えながら調整していきます。

●副作用を防く使い方

副作用は、服用開始から数カ月~1年半でみられる口内炎や胃腸障害、肝障害があります。こういった副作用は、葉酸を補給することで防げます。葉酸の錠剤を、メトトレキサートを服用した日から1日おいて、5mg服用します。まれに骨髄障害(血球をつくる骨髄の機能が抑えられ、造血障害が起こる)や、肺線維症が起こることがあります。しかし、このような重篤な副作用も、医師と患者さんの双方が慎重に対応すれば防げます。
なお、メトトレキサートには催奇性があるため、妊娠中は禁忌となります。また妊娠を希望する女性には、休薬がすすめられます。

その他の免疫抑制薬について

メトトレキサートで十分な効果が得られない場合には、その他の免疫抑制薬が使われることがあります。

●レフルノミド

のんだ量が体内で半分の量になる血中半減期が15日目と長いのが特徴です。海外ではメトトレキサートと同等か、それを上回る効果が示されていますが、日本では間質性肺炎を合併するケースがあり、治療中はせきや息苦しさに注意が必要です。

●ミゾリビン

抗リウマチ薬の中では効果が弱く、効き方も遅い薬です。通常は、ほかの抗リウマチ薬を1種類以上使っても効果が出ない場合に使われます。副作用は少ないですが、高尿酸血症(痛風や腎不全をまねく)があらわれる場合があり、定期的な尿検査が必要です。

●シクロスポリン

T細胞にあるたんばく質シクロフィリンと結合し、免疫抑制効果を発揮します。副作用としては腎機能障害、高血圧があります。グレープフルーツジュースといっしょに服用すると、血中濃度が高くなるため注意が必要です。

●タクロリムス

2005年に承認された新薬です。メトトレキサートで効果があらわれない場合にも有効とされます。副作用としては、胃腸障害、高血圧糖尿病などがありますが、メトトレキサートのような口内炎や骨髄抑制作用は少ないとされています。